【小説】都市伝説 幸せ天国計画(上)

~2~

 平成の終わりに「死を予言する女の子」という都市伝説が流行した。

 掲示板やまとめサイトに綴られている内容は多少改変されていたりするが概ね以下の通りだ。

 ある若い夫婦がひとりの女の子を産み、両親は大層驚いた。

 何故なら生まれた女の子の髪は美しいブロンドヘアで青い瞳をしていた。純日本人の二人の間では絶対に有り得ない、夫は妻の不貞を疑ったが妻は否定した。

 夫婦はDNA検査をしたところ、両親どちらの遺伝子を一切、引き継いでいないことが分かった。

 科学的に有り得ないことに気味悪がった二人は、子どもは里子に出された。

 その子どもはある優しいおじいさんとおばあさんに引き取られた。楓という名前を与えられ、子どもはすくすくと幸せに育った。

 楓が四歳の時、おじいさんに夜に見た不可思議な夢の話をした。

「あのね、楓の本当のパパとママがね、死んじゃう夢をみたよ。トラックにぶつかってぺしゃんこになってた」

 その時はおじいさんは、怖い夢を見たのだとさして気に留めなかった。

 翌日、楓の産みの親が交通事故で亡くなったと連絡が入った。驚いたおじいさんは死因を尋ねると楓が見た夢の通り、トラックにぶつかり遺体は目も当てられないほど潰れていたと言う。

 驚いたがただの嫌な偶然だと思い込もうとしたが楓はまた今日も不可思議な夢を見たというのだ。

「楓ね、また夢をみたよ。お隣の楓に意地悪ばっかりするお兄ちゃんがね、犬に噛まれて死んだの」

 おじいさんは楓を叱りつけた。楓はただ夢を見ただけだと泣いてしまった。

 そして近所に住む、楓を外人だとからかっていた小学生の男の子が課外授業で裏山に登った時、野犬に噛まれ狂犬病になり、ひと月後に発症し死んでしまったと聞いた。

 楓はまた新たに残酷な予言をした。

「楓ね、おばあさんが死んじゃう夢を見たよ」

 楓の夢を恐れたおばあさんは、楓にひどく当たるようになった。楓は優しかったおばあさんがなぜこんな仕打ちをするのか分からなくて毎夜泣いていた。

 楓の悲痛な声は夜な夜な響く。だが、おじいさんはおばあさんを止めることも、楓を庇うことも出来なかった。目の前で泣きじゃくる楓と死に怯えるおばあさんをただ虚ろな瞳で眺めるだけだった。

 おじいさんも、どうすればいいのか分からなかったのだ。

 不気味な子どもを引き取ったことに後悔する日々が三月ほど経った頃、おばあさんが亡くなった。

 歩道橋から足を滑らせて転び、打ち所が悪く亡くなってしまった。事故だと処理されたが歩道橋の上で楓がおばあさんを突き落とした姿を見たという人もいたが四歳の子どもにそんなことが出来るわけがないと警察は信じなかったが、おじいさんはその話を信じた。

 何故なら楓はおじいさんに

「おばあさんは歩道橋から落ちて死ぬ」

と予言していたからだ。

 そして楓は、五歳の誕生日を迎える前おじいさんに殺されてしまった。

 泣き喚く楓を押さえつけ白く華奢な首を締めて殺害した後、警察に出頭した。

「楓は生かしてはいけない子どもだった」

 不可解な供述に警察は理由を聞くと、おじいさんは怯えた表情で語った。

「楓は他人が死ぬことをぴたりと言い当てる。楓は夢で死を予言できる能力がある。妻も楓の予言で殺されたんだ。嘘じゃない、まだ私はボケてないんだ。私は楓の予言で私は明日死ぬことになっている。何もない留置所で、死んだはずの楓が蘇って、私を殺す」

 警察はおじいさんの言葉を信じなかった。

 だが翌日、変わり果てた姿になっていたが見つかったと言う。監視カメラにはおじいさんが話したとおり、ブロンドの子どもが綺麗に笑いながらおじいさんを刺し殺し、どこかに消えていった。

 それから誰かが死ぬ現場に必ずブロンドの子どもが出没するという都市伝説が語られるようになった

 そのブロンドの子どもは自分のことを楓でなく「リンデ」と名乗り死ぬ直前の人間に「あなたが死んじゃう夢をみたよ」と言葉を残すという。  そしてリンデは綺麗に笑うのだそうだ

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