時間薬と魔法の料理

10代のころ、大人が言う「時間が解決するよ」という慰めが気に入らなかった。その言葉を時間薬とも言いかえると知った時、言い得て妙だと思った。

15歳だった私は初めてのアルバイトをクビになった。

初めてのアルバイト先はチェーンのお弁当屋。私が最初に教えられた仕事は、カウンターに立ち注文を受けることだったが、それが出来なかった。

商品の注文を受けた後にマイクを通して復唱をするのだが、吃音症故に素早く伝達が出来ず、店長に目の前でため息を吐かれたのをよく憶えている。それから使用期間の間はご飯のお釜を洗うしかやらせてもらえず、同じタイミングでアルバイトに入っていた大学生のお兄さんがとても気の毒そうに私を見ていたのをよく憶えている。

社会のことなんて何も知らない高校1年生だったが、吃音症など障害を理由に仕事を辞めさせるのは倫理に反するものだということは知っていた。親に「何がダメだったか聞いてみた方がいいよ」と言われていたので馬鹿正直に、何故本契約にならないのか聞いてみた。

店長は吃音のことは触れずに、「アルバイトなのにメモを取らないから」と言われた。釜洗いしかやっていないのにメモを取る必要性は分からなかったが、たしかにメモ帳を持っていくべきだとは思った。

それでもメモを持っていくなんて誰も教えてくれなかったし、吃音のことですごく迷惑そうにしていたのに一度も触れないことが、社会はとても厳しいものだと思い知った初めての経験だ。。

それから、吃音症のある私は大人になってから、どう生きて行けばいいのか想像もつかず、不安で途方に暮れていた。

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